わさお 秋田犬

 ある著述家が他界したとき、その親友は「彼があの世で、先に行った連中と楽しくや

っていると思うことは、生涯を科学知識の普及に捧げた彼への侮辱だ(大意)」と言い

ました。


 秋田犬のわさお(本当は違う名前だったとどこかで聞いた覚えがありますが)につい

ては、私はネットやテレビで聞きかじったくらいのことしかしりません。見る限りにお

いては、確かにまっしろもふもふで素朴な顔立ちの、ぼふっと抱っこしたら気持ちよさ

そうな犬でした。

 和歌山のたま駅長と同じで瞬く間に人気者になって、映画にもなったとか。飼い主さ

んとのんびりしていたであろう生活がぐるっと変わって、飼い主さんともども大変だっ

ただろうなあと思います。有名にはならず、普通の犬として暮らすことがよかったのか、

有名になってたくさんの方々に可愛がられるのがよかったかは、わさおでないのでわか

りません。「癒やしてくれる子」「素朴な子」という見方は、あくまで見る方の「わさ

お」の切り取りかたです。本犬は何を思って可愛がられ映画に出ていたのかは分からな

いと思います。


 どうせ分からないのです。だったら、わさおを好いていた方は、思い切り嘆き悲しむ

のが正解だと思います。わさおは「その人が見たわさお」だから、人それぞれの反応・

弔い方でいいのではないのでしょうか。

 冒頭の著述家がこの世を去った時、素直にあの世での彼を想像できなかった身としては

そう思います。


 ちなみに今飼っている猫が死んだら、「虹の橋」が事実だろうが何だろうが、重度のペッ

トロスに陥る自信はたっぷりございます。